狛江市の舵取りは誰の手中に?

あまりに無策な市の経営−まさに暴風圏、一寸先が見えない状態

 ほんの100年位前までは村落共同体も機能して、住民の自治が行われていた。しかし現在は誰もが一日中狛江市の仕事だけをやっていられないので、私たち市民は税金を出し合い、市長を選び、自治事務を任せるために地方公務員を雇ってわがまちの経営を委任している。といっても白紙委任しているわけではない。

 白紙委任ではないということを明確にするために私たちは情報の公開、市民の参加を義務付けるルールをこのまちにつくった。市民主権を実現するために立法の府、行政の監視機関としての議会を設置している。

 さて、今開かれている第4回定例会をみていると行政の無為無策が露骨にあらわれて怖いくらいだ。市民がよっぽどしっかり舵取りをしなければ狛江丸は遭難しそうである。

 こんなに大変な事態になっているのに市長をはじめ、市役所の中は何事もなかったかのようにどんよりしている。議会一般質問の答弁にも危機感が全く感じられない。

 世界大恐慌が席巻し、アメリカの大手保険・金融機関が軒並み倒産や経営困難に陥っている。これらの企業が扱う金額とは比べものにならないくらい狛江の財政は少額ではあるが、この中には私たちの社会保障を支える社会保険としての国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険などがある。
 狛江市は保険者として市民から預かった保険料をもとにニーズに見合った最大限の給付を可能にしていく義務があるはずだ。だからこそ保険料額の設定は各自治体に任せられている。それぞれが住民のニーズ把握をしっかりと行い、住民の声を聴きながら給付と負担の額を決めていけるようになっている。

 狛江市はもうすぐ超高齢社会に手が届くところまできている。すでに住民の5人に一人は65歳以上の高齢者だ。来年度からの3年間の介護保険の事業計画でも、施設はつくらず、在宅サービスを充実の方向で行くとしながら具体的なニーズ把握ができていない。
 基金が約3億もあまっているというのに一人暮らしや日中独居、個別ケアが必要な要支援者、老老介護、認認介護への狛江市独自のサービスも提案できず、医療行為の必要な高齢者は行く施設も訪問看護師の増も見込めずにどうしろというのだろう。責任放棄もはなはだしい。一事が万事このような展開なのだ。

 社会を支えるのは公的なしくみだけでない。インフォーマルな地域全体で支えあうことがとても大事だ。そこ、ここにきらりと光る社会資源がたくさんある。それを生かさずしてどうするというのか。

 市長を選んだ責任も、監視役の議員を選んだ責任もすべて市民の責任だと開き直り、放りなげるつもりなのだろうか。

 あまりにひどい答弁を聞いた。