「原発」都民投票条例、都総務委員会で4時間にわたる質疑

発言者は全員、323,076筆の署名と請求代表者の意見陳述を重く受け止めたと明言…信じたい!

 総務委員会2日目は市民の条例案に対する都知事意見をめぐって質疑が行われた。
 佐藤さん(民主党)は「エネルギー政策は国の問題である」とする都知事見解に対して90兆円の経済活動を行っている東京都はエネルギー問題を重要な政策課題として対応する必要があり、政策フォーラムなど議論を巻き起こし、住民自治を回復するべきと述べた。
 中屋さん(自民党)はエネルギー自給率が低く、8割を他地域に頼ってきた東京都は立地地域には感謝と敬意を示すべき、原発問題は国の責任と主張。
 伊藤さん(公明党)は条例案の投票資格や投票の方法への疑問を質疑。
 吉田さん(共産党)は安全神話にしがみつき重大事故に対応しない政府を批判。「立地地域やその住民の多岐にわたる問題を考慮すべき」という知事意見に対し、「もはや原発は安全とは言えない。5000人の雇用はあるが、市民の安全や使用済み核燃料が3年でいっぱいになることを考え、なぜ反対できなかったかと悔やんでいる」との柏崎市長の言葉を声を震わせて伝えた。吉田さんの実家は原発から2キロのところにあり、同級生たちが反原発の運動をおこしているという。
 原発立地の問題を都民も引き受けて考えなければならないからこそ、都民投票が必要なのだ。

 2時間を経過し15分の休憩後再開。
 生活者ネット・みらいの星さんは「3・11以降、原発は命の問題であり、専門家と称する人に任せてきたことが大きな間違いであることが分かった。都民の意思を問う都民投票の意義は、都民参加で考えることにある」と力説。
 民主党の馬場さん、大西さんからも都民投票条例に賛成する立場から都知事意見への質疑が行われた。「東京電力管内とはどこか?」の質問が大西さんから出されたが「 群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、山梨県、静岡県の富士川以東」との答弁があった。「管内」は余計だったのかも?

 18日には民主党と生活者ネットワーク・みらい及び共産党からそれぞれ修正案が予定されている。
 
 すでに国外・国内の様々な地域で分散型エネルギーの実践が始まっている。再び安全神話に陥っている政府・国にすべてをお任せできないのは明白だ。石原都知事の意見である「安全性、経済性、産業政策、温暖化対策、安全保障の問題なども総合的に考慮したうえで、専門的な知見もじゅぶんに踏まえて」「国が冷静に判断する」ために、大勢の都民の意見を聞いてみよう。これまで市民に閉ざされてきた様々な情報が明らかになる。省エネルギーと地域エネルギー計画を構築するためにも、原発の稼働の是非を消費者・主権者が考えるチャンスが必要だ。まず東京都から国をリードしてほしい。

 今日は各会派の都議会議員の様々な意見を直接聞くことできた。自らの疑問や主張をどのように組み立てるのか、議員一人ひとりの力量が問われるし、人柄も垣間見える。とかく見えないといわれる都議会、わざわざ傍聴にまで来てくれる人には対応すべきだし、都政への信頼につながるのではないか。(池座俊子)