安心・共生・幸せ オランダ型成熟・市民社会に学ぶ

2013年4月24日 22時41分 | カテゴリー: トピックス, 子ども・教育・女性, 市民自治・まちづくり

 

 

4月12日(金)、東京・生活者ネットワーク主催による、オランダ教育・社会研究家リヒテルズ直子さんの講演会が開催された。リヒテルズ直子さんは九州大学大学院で比較教育・社会学を専攻し、オランダ人の夫とケニア、コスタリカ、ボリビアなどに在住。96年からはオランダに在住し、オランダの社会・教育事情を自主研究し、インターネット上で「リヒテルズ直子のオランダ通信」を公開、著作に『祖国よ、安心と幸せの国となれ』(ほんの木)、共著に『今、「開国」の時、ニッポンの教育』(ほんの木)などがある。東京・生活者ネットワーク都議団も視察に同行していただいた。挨拶する東京・生活者ネットワーク西崎光子都議

 オランダは、物質的な豊かさは10位であるにもかかわらず、子どもたちの生活の満足度は1位、学校が好き、宿題プレッシャーなし、親に何度も相談、登校前に朝食をとっているという調査結果(13歳の子どもの健康行動国際比較2005・6年 WHOヨーロッパ支部調べ )で注目を浴びた。さらに2011年に発表された小学校6年生の社会的機能調査では生徒の大半の社会的機能には全く心配の余地がないとされている。その調査項目は注目に値する。例えば社会的情報処理能力(世界、国、地域で起こっていることを知っている、意見がある)、市民的スキル(自分の意見を言い、他人の意見を聞く。対立は話し合いながら解決)、道徳的判断力(モラルは一人ひとり違うがそれをはっきり言うことができる)などなど。想像力、批判的思考を育てるといいながら学力テストを行っている日本の検証方法への疑問が呈せられた。 

日本と大きく違うのは、オランダの教育には理念の自由、方法の自由、設立の自由が保障されていること。個性と共生を重要視するモンテッソ―リー、シュタイナー、イエナプランなどの影響を受け、オランダでは今、デジタル化、特別支援教育の完全統合、民主的シチズンシップ、本物からの学び、協同の重視、システム理論の学校への導入、脳科学の研究成果の取り入れ、性教育の復活などがすすめられている。少人数グループで子ども同士の学びを保障する、デジタル化で一人ひとりの進度にあった教材が、子どもの興味を引くテキストで提供されるなど、その方法自体に、一人ひとりの個性と成長を促す思想が表れている。

 2006年から民主的シチズンシップ教育が初等・中等学校で義務化された。民主的法治国家の基本的価値観を教える、公共の利益、能動的は社会参加、仲間市民としての子ども、民主社会に生きる市民的行動の練習の場との位置づけだ。シチズンシップ教育には3つの類型があり、個人的な責任を負うこと、参加的行動、社会的正義を守ると発展するよう、例えば「フードバンクが近所にできたら?」など身近の問題を上げて議論する。  

近代以降の「検定教科書を学ぶ」日本の学校教育では「違いは豊かさ」ということを学ぶことはできない。世界はお互い依存しあっているという現実を体験し、違いを認め合い、自分は全体のために何をしていくか、を学校教育を通して子どもたちが掴んでいくオランダ。「安心・共生・幸せ」を大きな目標に置き、その目標に向かって科学的、実践的な営みを積み上げているオランダ。私たちが学ぶべきことは多い。未来に向けて子どもたちをどうエンパワーするのか、日本の教育改革を急がなければならない。(池座俊子)