自治をリードする議会に~福島浩彦さん講演会報告

2013年5月8日 03時45分 | カテゴリー: トピックス, 議会

4月28日、狛江市政改革研究会主催で前我孫子市長福嶋浩彦さんの「議会の改革はなにをめざすのか」と題する講演会が行われた。福嶋さんは83年から我孫子市議会議員、95年~2007年までは我孫子市長、2007年から2年間は消費者庁長官を歴任、現在は中央学院大学社会システム研究所所長。市長時代は予算編成過程公開、常設型住民投票制度、提案型公共サービス民営化など、市民自治を理念とした先進的な自治体経営に取り組んできた。 

 市長として行政へのあらゆる市民参加の制度をつくってきたが、制度をつくるのが一番大事とは思っていない。一番大事にしてきたのは我孫子市のもっとも問題が沸騰しているところに行き、その問題に直面している市民と、ちゃんと向かい合って、直接とことん議論すること。12年間けんかばかりしてきたという実感があるが、そこから信頼感が出てくるというこぼればなし。自治体の現場で市民や議会との徹底した真摯な議論で合意形成を作り上げてきた情熱、パワーに圧倒される2時間だった。 

 歴史的に初めて経験する人口減少社会で地域の質を高めるには、既得権を排除して、地域の市民や議会や首長や職員がみんなで議論して、合意を作り出していくしかない。その中心にあってほしいのが、自治体議会であり、議会のあり方が問わ れる。

 

■二元代表制における自治体運営

議員内閣制の国会と違って市長も、議員も市民から直接選ばれる自治体議会には与党野党がない。市長は市民から選ばれたのだから市民と相談して予算案や条例案をつくる。それを決定権を持つ議会に出す。議会も市民から選ばれているから、予算案や条例案が本当に市民の利益になるか、地域にとって有効かを判断して審議して、市長と議会が議論して決めていくのが二元代表制。だから議案や予算案の根回しは一切なし。市民が見ている前で議論し、市長の提案も議会の議論で変わったこともすべて見える形で運営してきた。 

■議会は監視機関でなく、自治体の意思決定機関

行政の監視は議会の大事な仕事だが、それは議会が意思決定機関として決定したことを首長や行政が、その趣旨通りちゃんとやっているかを監視することを意味している。合議制の意思決定機関だからこそ、構成員同士が議論しないと意思決定できない。小学校の学級会を含めて合議制の意思決定機関はたくさんあるが、唯一自治体議会だけが構成員の議論をしていないのではないか。議会はチームプレイ。議会として議論して、議会として意思決定して、その議会の力で行政を動かさなければならない。民主主義であれば、意思決定の場である議会は一番大事。だからこそその場に市民が参加しなければならない。 

■意思決定機関だからこそ議会への市民参加が必要

これまで議会への市民参加が課題にならなかったのは、何十人かの議員が支持者や地域の声を聞いてそれを持ち込むので、議会に参加してもらう必要はない、というのが大勢の考え方だった。しかし、支持者の考え方も様々なので議員が代弁できるわけではない。何より支持している議員にしか意見が言えないのはおかしい。むしろ自治体議員は支持者でない市民ときちんと公式の場で向かい合ってちゃんと議論することが大切で、それによって議員の質はものすごく上がる。それが自治体の民主主義にとって大切なこと。

例えば北海道栗山町では本会議と委員会以外に一般会議のいう正式な会議が条例で位置づけられており、議員と町民がその時のテーマで議論している。これを他の自治体ですぐやるのは難しいが、請願・陳情を出した市民が審議の際趣旨説明をし、議員からの質問に答え、議論することは、自治法の制度を使えばすぐにできること。やるかやらないかだけ。ちなみに栗山町の議会基本条例では町民が出す陳情・請願は第3の提案と位置付けられており、町長の第一の提案、第2の議員提案と同じように、提出者が提案理由を説明し、議員と議論するという思想にしている。首長や行政は議会が決めたことをやっているのだから、極論すれば議会への市民参加がきちっとあれば、行政への参加はなくてもいいかもしれない。

自治体の意志決定は人に任せたらだめ!本来自治体議会でやっている重要な意思決定は任せてはいけないもの。全部直接民主制でやることは明らかに不可能なので、任せているが、市民がちゃんと参加しなければいけない。 

■意思決定機関だから決定したことを市民に伝えなくてはいけない

自治体議会には意思決定したという自覚が希薄で、条例に欠陥があった時、市長を追及してくることがある。しかし提案したほうも悪いが、決めたほうももっと悪いのではないか。

栗山町ではいくつかのブロックに分けて、議員が意思決定者として条例の中身を説明する議会報告会を実施している。各地で開かれるようになったが、これも単なる報告会でとどめず、市民の要望を聞き取り、本当に実現すべきか議会で議論して必要なら市長に提案するなど進化させなければならない。

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 都内でも多摩市をはじめ、いくつかの自治体が議会改革に先進的に取り組んでいる。お隣の調布市でも議会基本条例が制定された。自分たちの描くまちを議会を通して実現していくことが可能になっている。議会、首長、市民がそれぞれできるところから自治に取り組むことが必要だとも福嶋さんは力説していた。

「議会 改革調査特別委員会設置を求める陳情」は10日9時からの議会運営委員会で3回目の審議が行われる。議員のみなさんが議会の役割と市民参加の重要性を深く理解し、議会改革に積極的に取り組む姿勢を見せてくれることを心から期待している。

委員会での議論を市民でしっかり見守りましょう。