森ケ崎水再生センターで行われている自然エネルギー発電

6月9日(火) 、エネルギーシフトを実現する狛江の会のメンバーとともに森ケ崎水再生センター見学に出かけました。 

処理した下水を東京湾に放流するところ。左右に延びている青色の管が小水力発電取水管で、滝のように流れている放流水の内側にあるサイフォン取水管から汲み上げた放流水を建物の向こう側にある水車発電機に2.5mの高さから落下させて発電している。

東京都下水道局森ケ崎水再生センターは大田区昭和島にあり、東京モノレール昭和島駅すぐです。ここでは狛江市など野川処理区の下水の処理も行われているので、下水処理のしくみは以前見学したことがありますが、今回はここで行われている小水力発電などを見学してきました。

■施設概要

森ケ崎水再生センターは昭和41年4月より運転開始した我が国最大の水再生センター。処理区域は大田区の全域、品川・目黒・世田谷区の大部分、渋谷・杉並区の一部で面積は14,675ha。区部全体の面積の約4分の一にあたる。多摩地域の野川処理区の下水も受け入れており、処理水は東京湾に放流される。

 ■森ケ崎水再生センターにおける自然エネルギー発電

1.メタンガスを利用した発電事業

  水処理工程で発生した汚泥を汚泥消化槽で温めることにより、汚泥中の有機分がガス化し、汚泥量を減量される。このバイオマスエネルギーであるメタンガスを発電設備の燃料として活用し、年間2,280万kWh(一般家庭5,750世帯相当)の発電を行っている。電気料金の安い夜間にNaS電池充電し、この電力を昼間に利用することで、電力料金削減と電力需要のピーク抑制による電力不足などに対応。事業開始は平成16年4月で、PFIで行われた。

下水処理後の汚泥からメタンガスを取り出して発電する

 
 
 
2.小水力発電
 管理棟で施設概要や自然エネルギー発電の説明を受けたのち、処理水を利用した小水力発電を見学。処理水の放流場所は、高潮などに備えて海面より数メートル高い位置に設置されています。この放流落差を利用した水力発電機を3基(私たちが見学した東施設に2基、西施設に1基)設置し、年間約61万KWh(一般家庭170世帯分に相当)の発電を行っているとのこと。水力発電は太陽光発電や風力発電に比べて昼夜の別なく、天候にも影響されずに安定して発電できることから、放流水を利用した小水力発電については長年研究課題だったのですが、発電装置設置などのために水処理を休止することが一日たりともできず懸案となっていたそうです。「放流水からサイフォン取水管により水を吸い上げ発電機にパイプで水を送る」という方式で、平成17年6月より運転開始。 
 
3.太陽光発電(準備中)

小水力施設を見学に行く途中、下水処理施設(反応槽)の上部を覆っている蓋の部分に太陽光パネルを設置するj準備が進められているところも見せていただきました。100万kWhの発電を見込まれています。既存施設上部の有効活用ですが、太陽光発電にはかなり広大は面積が必要と実感しました。

 

■下水処理センターでは1億kWhという莫大な電力が必要であり現在はその20%を自然エネルギーでまかなっているとのこと。都市生活を支える莫大なエネルギー消費を実感しました。

余談*前夜から雨が降ったこの日の見学。案内してくださった村磯さんは「本当はここをお見せたくなかったんです」と手前と向こう側の処理水の色の違いを指さして下水処理能力を超えたものは塩素に消毒のみで放流しなければならない現状をお話しくださいました。狛江市でも野川に未処理の下水を流さないことをめざして7小跡地地下に広大な貯留池をつくったり、屋根に降った水を地下に戻す雨水浸透などをすすめています。下水処理場に送れば処理されるという認識が覆されました。(池座俊子)