新緑の奥吾妻渓谷(群馬県長野原町)を歩く・・・八ッ場ダム建設により水没する川原湯

多くの問題を抱える八ッ場ダム開発

5月大型連休の週末、八ッ場ダムを考える会の仲間たちとダム予定地周辺を歩きました。

コース
〇長野原取水堰⇒強酸性の湯川の水を中和させる中和工場⇒中和生成物の沈殿のために建設された品木ダム⇒地滑りの危険が大きい崖下に開校した長野原第1小学校と地すべり対策の集水井⇒ダムサイト予定地

●水力発電所への影響・・・長野原取水堰
 八ッ場ダムに水をためるには水力発電所に送られている流量を大幅に削減することが必要で、取水をするに当たっては電力会社への巨額の補償が必要となり、開発費用の増額が見込まれるということで、まず初めに「長野原取水堰」を見学しました。ダムができていない現在ですら流量が乏しいので、上流からの生活雑排水も混入して、気温が上がると藻類が繁茂し、水質悪化の原因になります。
 一見クリーンそうなイメージを持つ水力発電ですが、発電所開発も川や周辺の自然環境を破壊していることには変わりありません。

〇湯川にかかる橋から石灰ミルクを常時流し入れ、pH1の強酸性をやっとpH3〜4(pH7が中性)に中和している光景はなんとも異様です。橋の上流は一見澄んだ水、橋の下流は乳濁した水に変わり流れていきます。

●中和生成物が流れ込む品木ダムはすでに8割方堆砂が進み、浚渫(しゆんせつ)した沈殿物の処分場が問題になっています。こんなに人為的なことをし続けなければならない八ッ場ダム開発は、非常に無駄なことをしているように思えてなりませんでした。

〇次に訪れた林地区にある長野原第1小学校は、すり鉢の底に位置する格好で建てられています。裏山には崩落防止のためのコンクリート枠工が前面に打ち込まれ、地質の脆さを露呈しています。この付近は集水井と横ボーリングで地下水位を下げ、地滑り防止をしていますが、ダムに水がためられたとき排水機能が失われ、かえって危険が増すといわれています。

●ダムサイト予定地は写真を見ていただければ一目瞭然、関東の耶馬溪とも言われる美しい渓谷が続き、自然のダム機能を果たしています。
利水面でも治水面でもすでに必要性が失われ、国民に多大な経済的負担を強いることになる八ッ場ダム計画はさらに、美しい自然環境や文化の喪失、地すべり、ダムの決壊の危険性、水質悪化、生態系・絶滅危惧種の喪失など余りにも失い、災いとなるものが大きすぎる計画です。

リンク http://www.yamba-net.org