2000年に始まった介護保険制度は、利用が大幅に増加し、給付費要は当初の2倍6,8兆円にのぼるとされています。国は適切なサービス提供により、介護給付の抑制をはかるために、1年遅れで昨年5年ごとの介護保険制度の見直しを行いました。06年4月から改正された内容のサービスが始まりますが、すでに昨年05年10月から食費と居住費を介護給付からはずし、自己負担にするという改正の一部が始まっています。在宅で介護している介護者の社会参加やレスパイトのために必要度の高いショートステイにも自己負担が導入されました。負担の重さから利用を控えるという、介護の社会化からは逆に遠くなるような現象がおこっています。
今回の見直しで、国は予防重視へシステム転換するよう提案しています。しかし、はいかいなど家族介護がとても大変で、虐待も増えている認知症ケアや介護度の高い方への新しい施策はほとんどなく、在宅介護を続けるための見直しは置き去りにされたままです。
見直しされたなかに「地域密着型サービス」の創設があります。
○夜間対応型訪問介護
○認知症対応型通所介護
○小規模多機能型居宅介護
○認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
などのサービスが上げられていますが、狛江市は昨年11月に実施した 市民広聴会で「小規模多機能型居宅介護」を重点施策としてすすめると発表しています。
◆小規模多機能型居宅介護のイメージ(厚生労働省資料より)
基本的な考え方:「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供することで、在宅での生活継続を支援する。◆
その広聴会で具体的にどのようにすすめていくのか質問したところ、地域密着型とはいえど、事業者に丸投げするかのような印象をもちました。事業者任せにしていると、利用者の囲い込みを促進しかねないこと、現行の指定事業との関係などに疑問の声もでています。
やはり地域ぐるみで高齢者の暮らしを見守る関係性、ささえるしくみが介護保険サービスの補完として必要ではないでしょうか。狛江市は地域住民をどう巻き込み、支援しながら地域密着型サービスをすすめようとしているのでしょうか。さっぱり見えてきません。
またメインテーマの介護予防として創設する新予防給付に関してはいまだ国から介護報酬額が提示されておらず、サービス提供事業所も準備に動くに動けない状態です。利用料金が低いことは利用者にとっては嬉しいですが、サービス提供を行う側からすると事業採算の面から人材の確保もむずかしく、えてして自立援助の軽視につながってしまうことも考えられます。新たに創設する地域支援事業ともあわせて、保険者である狛江市がどのような福祉の理念を持つのか、市民自身もどういうセイフティーネットを地域に持ちたいかかが問われているといえます。