多国籍企業による食べ物の支配の実態を暴くドキュメンタリー映画「フードインク」[食品株式会社]

7月6日(土)、食の安全を守る会と生活クラブ運動グループ狛江地域協議会主催でドキュメンタリー映画「FOOD,INC.フードインク」上映会が行われた。。

現代のアメリカの食糧生産の裏側を、隠しカメラの映像も使って暴き出していて、衝撃的だった。アメリカ人が好む鶏のムネ肉を大量に提供するために、栄養価の高い飼料で、従来の半分の期間で2倍のサイズに育てられるブロイラーたちは2,3歩歩くだけで足が折れてしまう。

1970年には牛肉産業の大手5社が市場の25%を占めていたのに対し、今では4社で80%を占めるまでに至っている。しかも屠畜場は全米で13しかない。ハンバーカーのパテには何千頭もの牛肉が一緒に混ぜられる。どこでどんなふうに育ったかは問題とされない。気の遠くなるような映像がこれでもか、と続く。

もともとは草食の牛を効率よく肥育するために、アメリカの広大な大地で生産されるトウモロコシを与えるようになった。だが牛はトウモロコシをうまく消化できないため危険な大腸菌O-157 が発生しやすくなる。不衛生な飼育環境やベルトコンベア式の超スピードが要求される解体作業も加わり、アメリカでは命を落とすほどの食中毒が年々増えているという現実。

食肉工場で働くのはメキシコからの不法移民。もともとはメキシコの主食であるトウモロコシを作っていたが、アメリカ産のトウモロコシの量と安さに押されて農業を捨て低賃金の劣悪な労働条件で働かざるを得ない。そしてアメリカのトウモロコシの安さの裏には連邦政府の莫大な助成金があり、モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシしか使えない構造が作り出されている。政府と業界との癒着はここでも明らかだ。。

さらに安い賃金で働く労働者たちが口にするのが、果物や野菜よりも安いファストフードの、ハンバーガーであり、それがアレルギー、肥満、病気という負の連鎖を引き起こしている。

外食、中食が進む日本の食の現状や日本の食卓に上る大豆やトウモロコシの9割前後が米国産であり、さらにその9割前後が遺伝子組み換えということから、この映画が映しだしている食を取り巻く現状は日本と無関係ではない。映画は私たちに意識変革と行動を呼びかける。「システムを変えるチャンスが一日に3回ある。世界は変えられる。一口ずつ。変革を心から求めよう」と。

生活クラブ生協が作り上げてきた生産者と消費者の顔の見える関係。小さくても地域で人の関係性で、誰もが排除されない仕組みを作ること。学校給食の安全性や暮らしの自治を追求する生活者ネットワークの活動。これらは小さくても市民の大きな意志を示すもの。

原発事故後、暮らしを見直し、自然とともに生き、農業を生業とする若い人たちも少しずつ現れてきている。「経済成長」ではなく、人の命と環境が大事にされる社会は、私たちが何を買い、何を食べるかで作られる、作っていかなければならない。

七夕の笹に、一言提案を書いてもらいました。