惣万さんの富山弁での開口第一番は会場の人たちに向かっての3つの質問でした。
1番目の質問は「あなたはガン、寝たきり、認知症の3つのうち何で死にたいですか」でした。家族は大変だろうが認知症で死にたいと答えた人が大半。…痴呆に対する社会的支援及び地域の理解はまだ高いとはいえません。
2番目の質問は「じゃあどこで死にたいですか、病院、介護施設、自宅?」自宅が圧倒的。…現実はかなり困難。
3番目の質問は「人と動物の違いは何でしょう」
皆さんはなんだと思われますか?
「笑うこと」と「親の介護をすること」が答えです。
(このゆびとーまれの運営理念は “あったか地域の大家族”)
さて、富山赤十字病院に勤務していた惣万さんはお年寄りの現実を見て、在宅で介護をする人の支援をしたいと思うようになり、早期に退職し、1993年7月、富山赤十字病院の看護婦仲間3人でデイケアハウス「このゆびとーまれ」の活動を開始しました。あかちゃんからお年寄りまで、障がい児も障がい者もみんないらっしゃい このゆびとーまれと、みんなが一つ屋根の下で過ごすデイケアハウスの試みです。
行政の支援もなく、実績のない「このゆびとーまれ」の初めての利用者は3歳の障がい児で、20代の母親が「出産以来行くことが出来なかった美容院に行きたいので預かってほしい」というものだったそうです。
「このゆびとーまれ」では高齢者だけ、障がい者だけを集めるのでは豊かな人間関係も、喜びもふくらんでいかないと、いろいろな人がいてあたりまえ、普通の生活を大事にしています。また「通って・泊まれて・家にも来てくれて・いざと言うときには住むこともできる」機能を備えています。
「このゆびとーまれ」での生活を知る写真をたくさん見せていただきました。子どもがそばにいるだけでなんともにこやかな表情になる認知症のおとしより、ほおずりし、だっこしたり、おんぶしてお世話する姿はいきいきしています。また寝たきりのお年寄りの横で小さな子がお年寄りの手を洗うのを手伝ったり(邪魔したり?)。このゆびと-まれでは利用者である子どもにお年寄りの死をきちんと見せているそうです。知的障がいのある人も非常勤ですが働いています。ここに集う一人一人がとても輝いてみえます。
ボランティアはオンブズパーソン役としても入ってもらっているそうです。
利用者ゼロが続く日々を市民の寄付に助けられ、惣万さんたちの活動は縦割り行政の壁を乗り越え、その実績が認められ「富山型」として規制緩和を進め、富山以外の県にも広がっています。「笑い」「親の介護をする」という人間らしさを社会全体で支えていく試みです。目の前にいる一人を救うために、その人のニーズに応えることで柔軟な補助金にするなど制度を大きく変えてきた惣万さんたちの「このゆびとーまれ」は、考えてみればあたりまえの地域の居場所だと思いませんか?
http://www.wam.go.jp/wamappl/hyoka/003hyoka/hyokekka.nsf/aOpen?OpenAgent&JNO=1670102779&SVC=0001031 グループホーム第3者評価
http://www.gender.go.jp/main_contents/category/egalite-kaisetsu/e%202-5.pdf P33〜35参照 女性チャレンジ大賞