第2回議員と市民の対話集会「多摩・調布・小平の市議さんと語る会」で議会の役割について、熱い議論!
5月25日(日)狛江市中央公民館で、市政改革研究会が主催する掲題の会が開催されました。
2006年北海道栗山町が制定して以来、「議会基本条例」を制定した自治体は、都道府県・政令市の過半数、市議会で3割、町村で15%です。東京都議会は緒にも就いていませんが、都内では多摩市(2010年3月)、調布市(2013年3月)、八王子市(2013年9月)、荒川区(2013年10月)、東村山市(2013年12月)、そして2014年3月には立川市、小平市で制定されています。
狛江市でも昨年議会改革調査特別委員会設置を求める陳情が出されましたが、議会で不採択となっています。議会基本条例をつくった議会はどんな問題意識で議会基本条例制定に取り組んだのか、議会基本条例を制定したことでどんな効果が見られたのか、3人のパネリストからお話を伺いました。以下概要を報告します。詳しくは市政改革研究会ホームページでご覧ください。
【パネリスト]
調布市議:伊藤学さん「自由民主党創政会」、前議長・前議会改革検討代表者 会議座長
多摩市議:遠藤めい子さん 「いろはの会」(民主党)・議会運営委員長
小平市議:日向美砂子さん 生活者ネット、議会改革推進特別委員会副委員長
【議会基本条例制定の動機と経緯、議会基本条例の特徴、条例制定後の課題】
伊藤学調布市議:地方分権一括法で市議会の権限と責任が拡大し、議事機関としてだけでなく、市民意見の反映や政策形成機能の充実が求められた。議会運営の基本を条例で定めることが必要と考えた。市議会議長就任のあいさつで「二元代表制のもとで議会の権能を高める努力をしよう」と協力を呼びかけ、各会派から127の検討項目が出された。34回の会議は公開で行い、全議員対象の報告会を持って、決定したことの共通認識を図った。議会基本条例には傍聴環境の改善、手話通訳・速記、車いす利用者のための議場のバリアフリー化、一般質問の一問一答形式導入、質問場所の変更、特別職の質問権、一部事業組合の本会議での口頭報告、本会議と4つの委員会のインターネット中継、委員同士の議論、市議会だよりの発行回数を増やし、全戸配布するなど、ハード・ソフト両面での改善が盛り込まれた。
遠藤めい子多摩市議:地方主権時代の到来を受け、平成19年9月に特別委員会を立ち上げた。議員は市民とつながっている自負があったが、議会基本条例制定をめざす特別委員会で市民のアンケートを行ったら8割が「議員を知らない」「何をやっているか分からない」と回答。「陳情」が議員の手柄にされたり、議会の論理で賛否が決まるのがイヤという声も聞かれ、「市民にもっと見え、わかりやすい議会」をめざすことが共通認識となった。
他にはない、多摩市議会基本条例の特徴として「議会としての決算評価と翌年の予算への連動」がある。4つの常任委員会の担当分野ごとに評価事業を決めて、議会としての評価をまとめ市長に提出。行政より回答を受けている。議会の政策立案能力を高めることにつながっている。「市民の政策提案を、政策の種として政策提案につなげる」ことは今後の課題。年1回以上の議会報告会を義務付けられていて、2回やっているが、参加者の固定化が課題。
日向美砂子小平市議:分権自治の時代、議会の役割が見えないとされるなか、足掛け5年議論して制定に至った。きっかけとしては議員定数削減の議案が出されたが、議会の在り方と合わせて考えていこうとなった。議会の保身ではなく、市民生活の向上を目的とすることを確認した。
市民からは一般質問における一問一答形式の挿入、インターネット中継などの請願があった。2011年議長の所信表明に議会基本条例制定が盛り込まれた。議会基本条例には①議会報告会を年2回以上開催、②災害時市長等と連携した災害対策、③議員間の自由討議、④市長への文書質問、⑤請願者の委員会での意見陳述、⑥議長・副議長選挙において所信表明を行い、わかりやすく、より開かれた議会に、⑦長期総合計画、基本構想を議決することなど、7つの特徴がある。課題としては委員間の温度差、議会報告会参加者の固定化などがある。
【会場からの質問】
○議会基本条例制定までの議会事務局の役割について
伊藤調布市議:定例会の4か月を除き議会改革に没頭。特別委員会の議事録などは議会事務局長と次長がかかわった。基本条例制定後「やりがいのある仕事」と事務局が言ってくれた。
遠藤多摩市議:特別委員会は要点禄。会議の進め方については世話人会で議論。条文の起草も議員が行った。
日向小平市議:特別委員会は要点禄を作成し、ホームページにアップ。作業部会の記録は議員が作成。議会改革担当の事務局が1名増員された。
○議員の主体的な努力が実を結んだと思う。市民の活動との関係は。
日向小平市議:「政治知りたい、確かめたい」という団体から一般質問の「一問一答方式」やインターネット中継などの陳情があった。この会では議会を継続的に傍聴し、ニュースも出している。市民が見ている緊張感、請願者とのつながり、住民投票条例など注目されていることが議会への力となることは確かだ。
遠藤多摩市議:アンケートで、市民に議会のことが知られていないということが大きな原動力になった。議会ウォッチングする市民の会など、市民が見守り続けることが大事。
伊藤調布市議:市民から議会改革に関する意見・陳情をもらった経緯がある。委員会もインターネット中継するようになって傍聴者が減ってしまったことは残念ではある。
当日は狛江市議会議員4名を含め、31人が参加。3人のパネリストから議会基本条例制定に至る各市議会の取り組みを丁寧に報告していただくことができ、参加者からも議員と議会事務局の役割分担など具体的な質問がありました。二元代表制の一翼を担う、合議制の議会の果たすべき役割への強い認識のもと、議会基本条例を議論、制定する過程そのものが議員と議会の力を高めていることを実感しました。狛江市議会の活性化のために、市民も、議員も力を惜しむべきではありません。(池座俊子)